留学生活雑記−コラム#09:

   車社会−アメリカ文化の一面を表す言葉としてしばしば耳にします。

   電車が交通の中心であり、駅前に必要なものが集中している日本とことなり、アメリカでは自家用車以外にたどり着く方法のない郊外にドドンと巨大なショッピングセンターがあったりします。多くの大学町では、必要な最低限のものは大学周辺で整うようになっているのでそう心配はいらないのですが、やはり車があるのとないのとでは、行動範囲、ひいては生活スタイルがまったく変わってくるのです。



 ミシガンの地に来てより約一月。まだ十月上旬だというのに、朝晩には氷点下にまで冷え込むようになりました。しかし、本格的な冬の訪れを待つまでもなく、ことあるごとに不便に感じていたのです。車がない生活に。

 オレゴン時代に乗っていた車は、オレゴンからミシガンまで山を越え谷を越えの40時間ドライブをする自信がなかったので、オレゴンを去る際に売ってきてしまいました。ロッキー山脈中で立ち往生、などといった不測の事態が起きる危険性を考えればもちろん正解だったと思うのですが、一度車のある生活に慣れてしまうと、車のない生活がやたらと不便に感じられてしまうのです。スーパーまで30分かけて歩いて行っても持って帰れる量に限界があるし。ガロンでジュースと牛乳その他食料品一週間分を買いこんだときには、帰り道あまりの重さにもう捨てたくなりました。その時はジュースを飲んでしまうという逆転の発想により克服したのですが、その代わりその後一週間分のジュースがなくなりました。残念。

 とまあ、そんなわけで、知人から$500で車譲渡のオファーを受けたときには、一も二もなくOKしてしましました。91年のスバル LOYALE(日本ではレオーネ)、10万マイル走行済みなんですが、なにせ値段が値段です。多少の修理が必要なのは覚悟の上です。その売主の知人がもうまもなく帰国してしまうということで、至急保険や権利譲渡の手続きを済ませました。

 数日後、帰国する知人を見送り、ついに自動車が手に入りました。まずは修理に出さなきゃなーとは思いつつ、とりあえずその晩に、学校まで行く用事(教師のオフィスアワーを訪ねて質問)があったので、ちょっと車で行ってみようかと思ったんですよ。新しいマイカーで初ドライブですよ!どきどきです!イグニションキーを差し込み回すと、異音を立ててエンジンが始動します。

 って異音?なんかやばいです。とても振動しています。回転速度がどんどん落ちていきます。って見ている間にエンストしました。警告ランプがぴこぴこ光ってます。なんですと・・・。

 もう一度エンジンをかけなおしてみると、今度は一応普通にかかりました。明らかに心配なんですけども、もう今から歩いて行ったのではオフィスアワーに間に合いません。なんとかなるだろ!と、意を決して走り出したのはいいのですが・・・。

 なんともまあ、信号待ちの度にエンストするんですよ。オートマなのにエンストってどういうことですか。まあ、ある程度のスピードで走っている間は問題ないようですし、学校までそう遠い距離じゃあないので、何とか無事にたどりつくことができました。

 んで、駐車場にとめようとしたんですよ。聞いてびっくり見てびっくり。ナニコレ。めちゃ混んでるじゃん!!!駐車場の空き待ちの車が数台、駐車場内をぐるぐる回っているんですよ。図書館の前の駐車場なんですけど、午後7時ですよ?みんなこんな時間に何やってるんですか・・・。もう家帰りなよ!!!まあ、後で聞いた話によると大体いつもこんな感じらしいのですが。それまでいつも歩きだったので気づきませんでした。

 やむを得ず自分もそれら空き待ちの車に混じって駐車場内をぐるぐる回っていたのですが、当然そういう状況ですので超低速運転です。エンストしまくりです。しばらく頑張っていたんですが、にっちもさっちもいかないので、一計を案じました。

 駐車場に隣接している目ぼしい建物の近くの路肩に寄せて、エンジンを切って停車。夜の闇に溶け込んで、気分はもう伏兵です!そこでじっと息を潜めて、建物から出てくる人を待つのです。

 待つことしばし、建物入り口の自動ドアが開き、一組のカップルが仲良く手をつないで出てきました。おのれイチャイチャしよってからに!うらやましいじゃないか!と、思わず轢きたい衝動に駆られましたが、そんなことをすると今度は自分が駐車場ではない「壁」の中に「長期パーキング」されてしまうので我慢です。そしておもむろにエンジン始動!ヘッドライト、オン!!

 突然車のヘッドライトに照射され、びくっとするカップル。奇襲は成功です。何か違いますか。まあいいでしょう。ここまできたら、あとは駐車場内を歩いて車に向かうであろうこのカップルを追跡するだけです。ここまでやっておいて、このまま歩いて帰られたらどうしようかと思ったのですが、無事に駐車スペースを確保することができました。

 そこから急ぎ足にて歩くこと約5分。オフィスへとたどり着きます。

 ・・・閉まってました。

 駐車場内をぐるぐるまわったりしているうちに、オフィスアワーすっかり過ぎていました。なんてこった。苦労してここまできたのに。

 仕方ないのでその日はそのまま図書館で一人で勉強して帰りました。残念。

 翌日、修理に出されたその車は、$300程度の修理(スパークプラグ交換、タイミング調整、オイル交換等)によって、とりあえず、とりあえず問題なく走るようになりました。

 まあこれからもいろいろトラブルには事欠かないことでしょうが、その他に関してはなかなか気に入っていますし、卒業まで二年間(それまでもてばの話ですが)、この車にはたくさんお世話になることでしょう。頑張れ富士重工!頑張れレオーネ号!
 

レオーネ号

2003年10月12日
Cao


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