| 留学生活雑記−コラム#11-2: |
続・渡米!一人珍道中 |
2004年8月末、神奈川からアナーバーまでの旅路後編。前編をまだご覧でない方はそちらを先にどうぞ。
さて、無駄に波乱万丈珍道中である今回の渡米だが、何はともあれ無事トロントまで辿り着いたことは前回記述した通りである。
そもそもアメリカに行くのにトロント経由というのはどうも能率が悪くて仕方がない。たまたまマイレッジカードを持っていたのと、週末追加料金がかからないというのを理由にエアカナダにしたのが運の尽き。当たり前といえば当たり前なのだが、面倒なことにアメリカに入国する前に一度カナダへ入国しなければならないのだ。カナダ入国はアメリカ入国と比べて記入書類も少なく比較的簡単なのだが、やはり待ち時間も増えるし、それに乗り継ぎの前に預けた荷物を一度受け取ったり、またセキュリティを通りなおしたりしなければならない。昔オレゴンに住んでいた頃もカナダのバンクーバー経由でオレゴンと日本を行き来していたのだが、バンクーバーではカナダ入国手続きが省略できたような気がするのだが、記憶違いだろうか。いずれにせよ、カナダドルを持っていないことには空港での待ち時間に飲み物を買うことすらままならないのだから、煩雑なことこの上ない。しかもこの空港、日本行きの便の発着ゲートと、アメリカ行きのそれが異常に離れている。バス二本を乗り継いでようやく辿り着いた。トロント経由でアメリカに入ることは私の人生においてもう二度とあるまい。
ところで、飛行機での旅行にはトラブルが付き物であるが、そのトラブルの中で最も悲惨なものとは何だろうか。私が思うに、それはラゲージクレームのベルトコンベアで自分の荷物だけがいつまで待っても出てこないこと、である。想像するだけでも冷や汗が出る。これはもちろん、ハイジャックに遭うとか、家族と違う間違った飛行機に乗って一人NYに行ってしまう、とかそういった特異なケースを除いて考えている訳である。昔一度だけ、空港で荷物が出てこないこの憂目に遭ってしまい、黄色い顔を青くしたり赤くしたりしながら対処する羽目に陥ったことがある。それ以来、自分の荷物が出てくるまでに時間がかかるとどうにも不安になってしまうのだが、ここトロントでは幸いにして無事ベルトコンベアから私の荷物は吐き出されて来たのであった。良かった良かった。
これで安心してトロントを発ってデトロイトへ向かえると思うでしょう。私もそう思った。しかし、そう上手くポンポンと乗り継げてしまうのは、どうもこの旅に相応しくない。出て来ぬ荷物に次ぐ空港の恐怖第二位、飛行機キャンセルの罠に見事に引っかかったのである。うむ、珍道中の看板に偽りなし。
普通のフライトなら、ここで十ドル分程度のお食事券などをもらったりして次の便にでも振替えられるところだが、今回はそもそものスケジュールが午後七時発の遅い便である。聞いてみると、今日中のデトロイト行きの便はもうないとのことで、翌朝の便に回されることに。ホテル券をくれると聞いた時はなんだか得したような気がして喜んでしまったが、後からよく考えたら、さっさと家に着いてゆっくりしたいこの時に一晩足止めってのは、なんだかあんまり嬉しくない。それに、空港からホテルまでこの大荷物持って移動するのもちょっと面倒くさい。まあ、文句を言っても始まらないので、十ドル分のお食事券を貰って満足することにした。
チケットカウンターで聞いた解かりづらい説明をなんとか読み解いて、ホテルに辿り着いたのは八時過ぎ。なかなか良さそうなホテルである。とりあえずチェックインを済ませると、折からの猛烈な眠気に耐えて、幸せの十ドルクーポン握り締め、ホテルのレストランへと入っていった。席に案内されてメニューを広げてビックリ。十ドル以下で食べられるものなんて一つもないの。何これ。まあ、正確に言えばサラダが唯一つだけ$10以下だったのだが、折角ホテル来て、夕飯クーポン券までもらって、食べたのがサラダのみって、そういう訳にはいかぬ。いかぬので、次に安いクラブサンドイッチを注文した。税込みで$14。1カナダドルが何USドルなのかよく分からなかったが、なんか高い気がした。なお、カニサンドイッチは出てこなかった。期待を裏切って申し訳ないが。
翌日。寝坊することなく起きて、無事に空港まで辿り着き、煩雑な手続きを経て無事予定の飛行機に搭乗することができた。30人乗りくらいの小さなプロペラ機なんですけども、乗客は自分を含めて四人。やっぱりこのくらいの人数だと快適に乗れる。飛行時間自体も短く、ほんの一時間半程度である。本を読んでいて、気づいたらデトロイト空港に着いていた。降りてから思い立って、夏前にアメリカで使っていた携帯電話の電源を入れてみた。お、ちゃんと使えそうだぞ。
アメリカ税関もトロントで搭乗前に済ませていたので、あとは荷物を引き取るだけ。今朝起きてから驚くほど順調だ。うん。何故かベルトコンベア横にポツンと置かれている、ボコッとへこんだ自分のスーツケースを見るまでは。何これ。うわー。
さて、空港を出てからはタクシーである。私が知らないだけかもしれないが、どうもデトロイト空港からアナーバーまでは公共交通がイマイチ不便だ。特に私の住んでいる所はアナーバーの中でもダウンタウンからやや離れたところなので、大荷物を引きずって移動するのは骨が折れる。車で行けば40分。ちゃっちゃっとタクシーで直行しよう。ただ、ここからがまた難題だ。空港のタクシー運転手は、基本的にアナーバー市内の道についてはあまり詳しく知らないのである。何も初めて訪れる街ではないのだから、私が道を案内すればいいのだが、残念ながら私もあまりよく覚えていない。自宅と図書館の間の道ならすごく詳しいのだが。
まあなんとかなるだろうと高をくくってタクシー乗り場へと向かう。ここの空港のタクシー乗り場は、リムジンタクシーと、イエローキャブの類のいわゆる普通のタクシーの乗り場が二つに分かれており、普通のタクシー乗り場に向かうにはリムジンタクシー乗り場の横をすり抜けなければならない。このシステムを知っていないと、途中でリムジンタクシーの客引きに捕まってしまい割高な運賃を取られるということが往々にして起こるのである。
そこは経験が物を言い、無事に普通のタクシーに乗り込めた私であるが、次の難関はもちろん、アナーバーに入ってからの道案内だ。市内の地図を思い出そうとしてみるものの、数ヶ月のブランクのせいかどうにもハッキリしない。通りの名前を思い出そうとあれこれ考えつつ、勘と曖昧な記憶を頼りに道を案内していると、突然携帯電話が鳴り出した。アメリカ帰ってきたばかりだというのに、いきなり電話かけてくるのはどこのどいつだ。今道案内に忙しいのに。どうせろくな物ではあるまいと決め付けて、一度は受けずに切ったのだが、また直ぐに同じ番号からかかってくる。
仕方ないので出てみると、日本にいたときから就職のことで話があったアメリカの某王手総合電機メーカーの人事なのだから肝をつぶした。日本のキャリアフェアで渡したレジュメが米国本社の方に回ったらしく、そのことで話しがしたいと言って来たのだが、心の準備という点で言えばこれほど間の悪いことはない。暫く英語を話していなかったから舌も回らないし、勉強からもすっかり離れていたものだから学校の勉強の研究の内容について聞かれても、そんなこと覚えちゃいない。まさに泡を食ったといった状態である。あわわわわわわ、である。そんな状態でもタクシーは走り続ける。次どっち!?と運転手が聞いてくる。え、あ、す、すとれぇと!とか言いながら、必死で電話に受け答えする。パニックここに極まれり。
結局電話の相手に、今ちょっとタクシーの中で都合が悪いから後でかけなおすと断って電話終了。ってか最初からこうすりゃ良かった。おかげで冷や汗びっしょりである。ふぅと一息ため息ついて、窓の外を見上げると、そこには全く見知らぬ景色。あれ、ここどこだ・・・?
このようにしてすっかり道に迷ってしまったのであるが、その後タクシーの運転手に怒られて、追徴運賃を請求されて、理不尽な思いをしつつ、這這の体で家まで辿り着いた。懐かしの我が家ー、ってなんかいつの間にかアパートの外装ペンキ総塗り替えしてあって雰囲気変わってるけど・・・。前まで青かった家が赤くなっておるのだが。どうなんだ、その色のチョイス。まあいい。鍵を開けて家に入る。ルームメイトは留守のようだ。ふと気づくと居間のテーブルの上に書置き一つ。
−−− 十一月頃帰ります。それまでは代わりに僕の友達が住むからよろしく。
P.S. ベランダの花とハーブに毎日水やっておいて。 −−−
どっひゃーん
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