アメリカ留学ガイド#2:

入学したら、卒業プラン。


 留学するにあたって、不安や心配は山ほどあることと思います。その中の最たるものの一つが、住居に関するものでしょう。また、一度留学してからでも、他の学校に転学となると、また一から住居探しを始めなければなりません。

 現地に一週間程度、事前に赴いて実際に見て確かめることができれば言うことはないのですが、金銭的、時間的に、なかなか難しいこともあります。そういった場合、方法は二つ。決めずに行ってモーテルなどに宿泊しつつ探すか、電話やインターネットを使って探すか、のどちらかでしょう。前者ではそれまでに良い物件がなくなってしまう恐れがありますし、後者では実物を見ずに決めなければならない不安があります。どちらのリスクを取るかは個人の好みですが、まあ大きな大学のある街ならばどちらの方法でも、多少損はすることがあっても破綻するようなことはないと思います。

 さて、このページでは、そのような状況で、特に後者、インターネットを使って現地に行かずに住居を探すための方途をいくつか紹介したいと思います。ここでは主に、独身の学生が、特に知人のいない所に留学する場合を想定して、寮、ファミリーハウジング、アパート、Co-op、ホームステイの5つの選択肢に分けて検証しています。



選択肢1: 学生寮

 留学生にとって、最も簡単に住居を決める方法は、なんといっても「学生寮」でしょう。

 大学が提供している寮は、街でアパートを借りて住むよりもやや割高なのが通例です。しかし、個人でアパートを借りるのに比べ、手続きは圧倒的に簡単ですし、安心でもあります。電話、ケーブルTV、ブロードバンドインターネットなんかも含まれているところが多く、その辺の手間もいりません。当然キャンパス内にあるので、通学にも便利です。何より最大の利点は、友達を作りやすい、ということでしょう。特に、英語に不安がある場合には、寮からスタートするのがベストだと思います。一年目は寮に入り、二年目からは寮やクラスなどでできた親しい友達とアパートへ移る、というのはよくあるパターンですね。

 ただし、寮の欠点として、食堂の食事がマズイ、一部屋をルームメイトと共有する場合プライバシーが片鱗もない、他の寮生がうるさく勉強に集中できない、などが挙げられます。とにかく、ルームメイト次第で寮生活は大きく変わってくると思います。共同の風呂・トイレが気になる人もいるでしょう。

 掃除をしない、彼氏/彼女を連れ込んでイチャつく、爆音で音楽を聴く、夜遅くまで騒ぐ、などから果てはマリファナを吸う、まで、まあ部屋をシェアすることによって起こりうる問題は様々です。寮によって、比較的静かな寮やパーティ寮など、それぞれの雰囲気があります。寮の間取りや位置だけでなく、各寮の雰囲気を事前に調べて、自分の好みに合わせて選ぶと良いでしょう。

 金銭的に余裕があるなら、かなり割高になりますが、寮の一人部屋という方法もあります。この方法だと比較的トラブルは避けやすいですが、競争が激しいことが多いので、早めの申し込み、場合によっては抽選で当選することが必要になります。一人部屋、二人部屋に関わらず、寮は案外申し込み締め切りが早いので、要チェックです。ただし、締め切りを過ぎていても、空きがあればいつでも入れるので、学校のハウジングオフィスに確認してみてください。

 気が会うルームメイトが得られれば最高の寮生活ですが、こればかりは運次第ですね。 


選択肢2: ファミリーハウジング

 配偶者や家族も一緒に留学する場合は、当然通常の学生寮とに住むワケにはいかないので、他の選択肢を探す必要があります。大学によっては、ファミリーハウジングという、そういった学生が家族と一緒に住むためのアパート形式の住宅を用意しているところもあります。

 これも各学校によりますが、自分の経験からすると、ファミリーハウジングはなかなか条件が良いことが多いようです。当然、入居資格は既婚、家族連れの学生、ということになるのですが、空きがあれば、大学院生、または学部生でも入れることがあります。学校のハウジングオフィスに問い合わせてみましょう。学生寮と同じく、締め切りが早いことが多いので、要注意です。 


選択肢3: アパートを探す

 最も多様性に富んだ選択肢が、アパート、シェアハウス、または間借りです。これらの中から探す場合、アパートから探す方法とルームメイトから探す方法とがあります。前者では、アパートの大家や不動産屋から空き部屋を探し、後者ではアパートまたは家の中の空き部屋を埋めたい個人を探すワケです。

 アパートは通常、以下のように大別されています。

Studio 一部屋だけのアパート。いわゆる六畳一間とかそういった類のもの。各アパートによって、キッチンや風呂・トイレは各部屋にあったり共同であったり条件が異なってくる。
Efficiency 通常はStudio+ダイニングキッチン。しかしながら、物件によってはStudioと全く同義に使われていたりもする。
One-Bedroom いわゆるワンルームマンション。リビングの他に一部屋、ということ。大抵は各部屋にキッチン、風呂、トイレがついている。一人で住みたい人向けだが、二人でシェアしている学生もいる。
Two-Bedroom リビングの他に二部屋。この形式のアパートにルームメイトと二人で住むのが、学生に最も多いパターン。以下、Three-Bedroom、Four-Bedroomと部屋数が増えていく。

 このほか、Landlord-Occupied House というのは大家の住んでいる家の中の一部屋の間借りですね。シェアハウスは、大家から一軒丸ごと借りた家に、学生何人かで共同で住んでいるものです。広告などで、Room in House と書かれているのは、シェアハウスの中の一部屋、Room in Apartment と書かれているのはTwo-Bedroomかそれ以上のアパートの一部屋です。どちらも通常、リビングルーム、キッチン、風呂・トイレが共用となっています。

 やはり一人暮らしだと費用がかかるので、学生同士、ルームメイトと住んでいる人が多いです。我々がルームメイトとアパートをシェアしようと考えた場合、ルームメイトとアパートと両方を探さなければなりません。以下の3つの方法があります。

   1.部屋を持っていてルームメイトを募集している人を探す

   2.部屋を探している人同士でアパートを借りる

   3.アパートを先に借りてしまってからルームメイトを探す

 3の方法は、万一ルームメイトが見つからなかった場合、一人で家賃を負担しなければならないので多少リスキーです。かなり早い段階で、良い物件が予約ができた場合にのみ有効でしょう。また、外国人がアパートを借りるのは何かと面倒ごとが多いので(財政証明など)、方法1、または方法2で相手が現地にいる場合、が楽だと思います。

 さて、これらのアパートやルームメイト募集の広告を探す方法ですが、各大学のウェブサイトには、大抵ハウジング関係の情報が載っています。ここから始めるのが良いでしょう。見つからないようでしたら、大学のインターナショナルオフィスなどに問い合わせてみて下さい。例えば、

 OSU ならば、http://oregonstate.edu/students/offcampus.htm

 U-M ならば、http://www.housing.umich.edu/

でハウジング情報が得られます。特に、U-M のハウジングサイトはかなり有用です。(Ann Arbor の方が住宅事情が悪い、ということもありますが・・・)U-M でルームメイトを探すには、ここのサイトで、部屋探しています、の広告を掲載するのが一番の近道だと思います。

 また、民間では、

 Apartments.com(http://apartments.com/

 Roommates.com(http://www.roommates.com/

などが有名です。Apartments.comはアパート情報、Roommates.comはルームメイト募集情報が手に入ります。Roommates.comは一部サービスが有料ですが、まず無料で検索してみて、良さそうな候補が見られるようなら、最低限の先行投資と思って払ってしまって良いと思います。現地へわざわざ出かけることに比べたら微々たる額ですので。部屋を探しています、の広告を掲載することもできるので活用しましょう。また、

 Apartment Ratings (http://www.aptratings.com/

では様々なアパートに関して、実際に住んだことのある人の感想が載せられているので参考にしても良いでしょう。

 インターネットなどの広告には、不動産屋が出しているもの、大家が出しているもの、個人のルームメイト募集、などが混在しています。どれでも構わないのですが、場合によっては現地に行かないと契約させてくれないかもしれません。いずれにせよ、現地に行かずに契約できるかどうか問い合わせてみてください。Security Deposit(敷金)を小切手や銀行小切手などで郵送する必要があるかもしれませんが、特に個人宛に送る場合は、信用できる相手かどうか確認してから送ってください。いずれにせよ、質問するだけならタダですから、メールを使って積極的に聞いてみましょう。

 大学周辺の地理もなかなかつかみづらいと思います。Map Quest (http://www.mapquest.com/)のDriving Directionsに、学校の建物の住所とアパートの住所を入力すると、おおまかな距離がわかります。

 大学のハウジングオフィス以外にも、自分の専攻学科のオフィスに問い合わせれば、大まかにどこらへんのアパートに同じ専攻の学生が住んでいるのかなど分かるかもしれません。また、大学の日本人会があれば、日本人が住みやすいアパートなど教えてくれるかもしれません。日本人のルームメイトが欲しい場合も、ちょうど誰々の所が空く、といった情報があるかもしれないので聞いてみて損はないでしょう。ちなみに、OSUではhttp://oregonstate.edu/groups/jsa/、U-M ではhttp://www.umich.edu/~nihon/にそれぞれ日本人会のウェブサイトがあります。

 実物を見ずにアパートを決めるのは、やはり結構冒険です。建物に関しては、個別のアパートや借家よりも、例えばApartments.com などで、写真付で紹介されているような大規模に展開しているアパート群が比較的無難な選択かと思われます。まあ行ってみて万一気に入らなかったら後でゆっくり引越しを考えることにして(礼金など費用はかかってしまいますが)、とりあえず気楽に探してみましょう。


選択肢4: Co-op、フラタニティ/ソロリティ

 Co-op では、大きい家に皆で住み、当番制の食事の準備や掃除など、共同生活を送ります。寮と同じか、それ以上に、友達を作る機会はあるでしょう。International House などがこれに含まれます。キリスト協会系の運営で、定期的にバイブルスタディが催されるところなどもあるようです。各Co-opに、大学寮よりもやや厳しめの規則があるところが多いです。大学のハウジングオフィスや、各 Co-op のウェブサイトなどで情報を得て、申し込んで下さい。

 Co-op housing に似たものに、フラタニティ/ソロリティがあります。こちらはより学生主体で、同じような目標や趣味、または気の合う仲間同士で住んでいます。男女別になっており、男子寮をフラタニティ、女子寮をソロリティと呼び、入寮のためには既に入っている学生による審査をパスする必要があります。各フラタニティ、ソロリティによって違いはありますが、多くではある程度の成績を維持しつつ限界まで遊ぶ、ことを探求しているといった感じで、パーティなど頻繁に開催されています。一度入れば、兄弟同様のつながりができることでしょう。ただし、特殊なツテでもない限り、いきなり入寮するのは難しいかと思われます。


選択肢5: ホームステイ

 ホストファミリーの家の一室を借りて住むという点で、Landload-Occupied House と似ていますが、そちらで借りる場合は名目上独立していて部屋だけを借りているのに対し、ホームステイでは家族の一員、または客として迎えられることになります。

 アパートよりも通常かなり費用は抑えられますし、困ったときなどなにかと頼りになるホストファミリーですが、当たり外れがあるのは寮などのルームメイトと同様です。わざわざホストファミリーをやろう、と思う人であるだけに、基本的には人柄が良く親切な人が多いです。ただし、寮のルームメイトが自分と対等な立場であるのに大して、ホームステイの場合は相手が家の主導権を持っているだけに、外れたときのショックはより大きいかもしれません。

 大学のインターナショナルオフィスや付設の語学学校で斡旋していることもあるので、興味がある場合そちらに問い合わせてみて下さい。民間企業でも斡旋を扱っているところもあるようですが、まずは大学に聞いてみるのが良いでしょう。


まとめ

 以上、代表的な選択肢をおおよそ網羅したつもりです。どこにするにせよ、行ってみたら日の当たらない地下室だった、などということがないように、十分メールや電話などでやりとりしてから決定して下さい。それでは良い家がみつかりますように!






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